本記事はクラウンエイジェンツ・ウクライナ(CAU)からの寄稿です。
戦争が続くウクライナでは、水道インフラの破損やエネルギー不足により、多くの都市や町で上水供給・下水処理が深刻な影響を受けています。安全で安定した水へのアクセスは、人々の健康、衛生、そして日常生活の維持に不可欠なものです。
日本政府は、緊急復旧無償資金協力を通じて、こうした状況への支援を決定しました。この支援は、独立行政法人 国際協力機構(JICA)が実施主体となり、クラウンエイジェンツ・ジャパン(CAJ)が調達代理として、必要な資機材を迅速に調達・供与する形で行われています。
CAUは現地パートナーとして、この支援が現場で確実に活用されるよう、水道事業体との連携や資機材の受け入れ支援を担当しました。
現場を支える重要な設備
本プログラムでは、ウクライナ各地の水道事業体に対し、運営と復旧力を強化するためのさまざまな資機材が届けられました。
- ディーゼル発電機
停電時でもポンプ場や浄水場を稼働させるため、さまざまな容量の発電機を配備。 - ポンプおよび交換部品
破損したインフラの修復や給水システムの維持に不可欠な機材を供与。 - 水質監視用ラボ機器
安全基準に適合した水質を維持するための分析・モニタリング機材を提供。 - 特殊車両および修理用ツール
緊急時にも現場スタッフが迅速に対応し、困難な状況下で給水サービスを復旧できる体制を整備。
この支援によって、戦時下でも数百万人のウクライナ市民が、生活に欠かせない安全な水を利用できる環境が守られています。

地域コミュニティへの直接的なインパクト
発電機やポンプといった資機材の供与は、地域社会に即座に影響を与えています。水道事業体は、家庭・病院・学校などへの給水を途切れることなく続けることができ、衛生環境や感染症リスクの低減に大きく寄与しています。
とりわけ前線地域や被害の大きい地域では、この支援が生活の継続と人道危機の分岐点となっています。
CAUは現場の水道事業体と緊密に連携し、供与された機材が円滑に配備・活用されるようサポートを続けています。
長期的な復旧・強靭化への貢献
今回の供与機材は、短期的な復旧にとどまらず、今後も長期にわたって活用されます。水道事業体は、将来の危機への備えを強化し、エネルギーの不安定さにも柔軟に対応しながら、運営の近代化を進めていくことが可能になります。
これにより、ウクライナの水道インフラは現在の緊急対応だけでなく、将来の復旧・発展に向けた強靭な基盤を築くことができます。

連帯に基づく支援
JICAを通じた日本の支援は、困難な状況にあるウクライナへの強い連帯の表れです。安全な水は人々の暮らしを支える最も基本的な要素のひとつであり、その供給を守ることは希望と友情の象徴でもあります。
CAUは、JICA、CAJ、そして各地域の水道事業体と連携し、この重要な支援を確実に現場に届ける役割を担い続けます。
「水は命」——支援がつなぐ日常
日本政府と日本の人々の支援により、ウクライナの家庭には、最も厳しい状況下においても、安全な水が届けられ続けています。CAUは、これからも現場の最前線から、人々の暮らしを守る取り組みを支えていきます。